一口に脱税事件といっても色々な問題があるので,脱税事件に関する知識や経験の豊富な弁護士に相談することが大切だということを理解していただくために,そもそも脱税とはどういうことを指すのかについて紹介します。
行なった行為がどの脱税に該当するかによって大きく刑事罰(懲役)は異なります。
脱税事件の種類
脱税事件は大きく分けると2つの種類があります。
- 不正行為が行われている脱税
- 不正行為が行われていない脱税
不正行為が行われているかどうかによって大きく分類されます。
不正行為が行われている脱税
脱税事件で最も多く見られるもので,虚偽過少申告ほ脱犯,虚偽無申告ほ脱犯と呼ばれるものです。具体的には、次のような不正行為が行われています。
- 売上の除外
- 経費の架空計上
- 二重帳簿の作成
不正行為が行われていない脱税
不正行為が行われていない無申告(申告書を提出しないこと)による脱税です。
無申告ほ脱犯と呼ばれるもので,元々不正行為がないと脱税としては処罰できないとされていたのですが,不正行為がないからといって申告書を提出しないで税金をのがれるのも悪いことだろうということで,平成23年の税制改正で無申告ほ脱犯も処罰できるようにされたのでした。国税局は無申告ほ脱犯の摘発にも力を入れているとされています。ただ,不正行為がないので,刑も半分(虚偽無申告ほ脱犯等は,10年以下の懲役,1000万円以下の罰金ですが,無申告ほ脱犯は,5年以下の懲役,500万円以下の罰金です。)になっています。
不正行為の有る無しが,刑の重さにとっても重要な意味を持つことが分かります。
脱税ではないが
なお,脱税犯ではありませんが,正当な理由がないのに申告書を期限までに提出したかった場合も処罰されることがあるので注意が必要です。これは,無申告犯とか故意の申告書不提出犯と呼ばれるものです。
脱税に関する刑事罰(罰則規定)まとめ
刑事罰(罰則規定)をまとめると次の通りです。脱税が懲役何年かも種類によって異なります。
条文番号 | 犯罪名 | 具体的な内容 | 罰則規定 |
---|---|---|---|
159条1項 | 虚偽過少申告ほ脱犯 虚偽無申告ほ脱犯 |
偽りその他不正の行為により,法人税を免れ,又は法人税の還付を受けた場合 | 10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金 |
159条3項 | 無申告ほ脱犯 (平成23年税制改正) |
申告書をその提出期限までに提出しないことにより,法人税を免れた場合 | 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金 |
160条 | 無申告犯-故意の申告書不提出犯 | 正当な理由なくて確定申告書をその提出期限までに提出しなかった場合 | 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |