脱税で起訴される場合
国税局から告発を受け、検察でさらに捜査が行われた結果、犯罪の嫌疑が認められる場合には、起訴されることになります。検察統計によると、租税に関する犯罪の起訴率は約70%とされています。ただし、脱税の共犯者等が不起訴になることはあっても、納税義務者が不起訴となることはまずありません。
起訴される基準
検察による捜査の結果、犯罪の嫌疑が認められる場合には原則として起訴されることになりますが、次の場合には起訴されないとなる場合もあります。
- 脱税した所得金額が数千万円程度に留まる場合
- 共犯者で、関与の度合いが小さい場合
※なお、最近は領収証や請求書等を偽造して脱税に協力した者も、その報酬の額によっては幇助犯として起訴されることがあるので注意が必要です。
起訴されないためのポイント
起訴をするかどうかの決定権限は検察が持っていますので、検察に意見書を提出する等して、起訴されないよう積極的に働きかけることが有効です。具体的には、犯罪の嫌疑がないことや、あったとしても起訴するに値しない案件であることを検察に説明し、説得する弁護活動をすることになります。そこで、当方の主張を根拠付けられるような資料の収集や、弁護士からの聴取に対してご協力いただくことが不起訴処分を勝ち取るための重要なポイントとなります。
起訴後の流れ
起訴された場合、管轄の地方裁判所で第一審の裁判手続が進められることになります。この時点で勾留されている場合には、保釈請求をして身体拘束からの解放を図ります。裁判では犯罪の成否、情状について弁護側も証拠を提出し、仮に有罪判決が避けられない場合でも、減刑や執行猶予を得られるよう弁護活動をすることになります。
裁判
犯罪事実が本当に存在するかを公開の法廷の場で審理します。検察官が犯罪の証明を行い、これに対して被告人側が反証することとなります。被告事件について犯罪の証明があったときは、判決で刑が言い渡されます(刑事訴訟法333条1項)。
判決
国税庁の発表資料によると、査察事件の第一審判決の状況は、平成25年の判決件数116件中、有罪は115件、無罪は1件で、有罪率は99.1%となっています。このことから一旦起訴されると有罪となる可能性は極めて高いといえます。